˗ˋ Tau log ˊ˗

静かな私の小さな挑戦

社会人から看護師へ|血も人体模型も苦手だった私の話。

はじめに

私は、元ポンコツ看護師です。

正直に言うと、子どもの頃から看護師にはなりたくありませんでした。

血が苦手で、傷を見ることができず、理科室の人体模型すら怖くて入れなかったほどです。

理科室を通ることもできず、廊下に机と椅子を出して授業を受けていたこともあります。


母の期待と、どうしても抱けなかった気持ち

母からは看護師を勧められ続けていましたが、私はずっと「なりたくない」と思っていました。

母の夢が看護師で、それを叶えられなかったからこそ娘に託そうとしていたことも、どこかで分かっていたからです。

それでもなお、余計に嫌だと感じていました。

母の夢を押し付けられているように感じていたからです。


それでも人を放っておけなかった子ども時代

それでも私は、困っている人や怪我をした人を放っておけない性格でした。

怖さはあっても、体調が悪い友達を保健室に連れて行ったり、そばにいることはやめられませんでした。


親友からこんなことを言われたことがあります。

「私が病気で休んだとき、たぅちゃんは宿題じゃなくて、花を持ってきてくれた。それも一本だけ。でもそれが嬉しかった」

その言葉を聞いたとき、私は初めて気づきました。

私は“何かをしてあげる人”というより、“人の喜ぶ顔が見たい人”だったのかもしれません。


福祉の道とドラッグストアでの経験

外国語の短大を中退し、何か手に職をと思い、福祉系の大学に進学して社会福祉士を取得しましたが、就職活動はうまくいきませんでした。

アルバイトとして続けていたドラッグストアでは、人間関係に恵まれ、店長が私の良さを見てくれる人でした。

レジや接客に加えて、ポップやレイアウトを任せてもらったり、コンクールに出してもらったり。

その環境はとても充実していました。

福祉の仕事を目指しながらも、私はこのままドラッグストアで働くことも考えていました。


奨学金という現実

でもそのとき、現実として重くのしかかってきたのが「奨学金の返済」でした。

短大と大学、どちらでも奨学金を借りていて、このままでは返済に追われ続ける不安がありました。

社会福祉士という仕事は、当時まだ世の中での認知が高いとは言えず、待遇も厳しい現実がありました。

一人暮らしをしたい気持ちもありましたが、どうしたらいいのか分からないまま時間だけが過ぎていきました。


看護師という選択が生まれた瞬間

それでも、人と関わることは好きでした。

特にお年寄りや子どもと接することが好きで、「ありがとう」と言われる仕事がしたいと思っていました。

そんなある日、母と一緒に母の知人が経営する韓国料理のお店に行きました。

つい食べすぎて少し気分が悪くなり、外に出ました。

空を見上げると、一面に星が広がっていました。

そのとき、なぜか分かりませんが、私は思いました。

「看護師になろう」

それは理屈ではなく、本当に突然の決意でした。


社会人受験という挑戦

その日から、アルバイトを続けながら社会人受験の勉強を始めました。

国立の看護学校を目指し、母校の先生に連絡を取り、国語・数学・英語を教えてもらいながら予備校にも通いました。

看護学校は奨学金を使わないと決めていたので、お金を貯めるためにシフトはできるだけ多く入れていました。

正直、楽な道ではありませんでした。

社会人入試にも2度落ちています。


「なりたかった人」ではなく「役に立ちたかった人」

それでも今振り返ると、あのときの私は「看護師になりたかった人」ではなく、

「どうにかして人の役に立ちたい人」だったのだと思います。


社会人でも目指せるということ

看護師は、社会人からでも目指すことができます。

そしてその動機は、きれいで立派なものである必要はないのかもしれません。

私自身、最初はお金の不安や生活のためという気持ちもありました。

でも振り返ると、人と関わることが好きで、誰かの喜ぶ顔が見たいという気持ちがずっと根っこにありました。


動機は変わってもいい

「なぜ看護師になりたいのか」が途中で変わっても、

その気持ちが後から見えてきても、進む力になることがあります。

私は特別な人間ではありませんでしたが、それでもここまで来ることができました。


年齢よりも、これからのこと

看護師に限らず、新しい挑戦に年齢は関係ないと思います。

そして、動機が不完全でも、そこから始まる道はちゃんとあります。


少しだけ立ち止まって考えてほしいこと

ただ、ひとつだけ伝えたいことがあります。

看護師を目指そうと思ったとき、少しだけ立ち止まって考えてみてほしいのです。


看護師という仕事は、人の役に立てる喜びがある一方で、

思っている以上に「人と一緒に働く力」が必要になる場面があります。

実習や学校生活では、チームで動くことが多く、

自分の気持ちだけでは進められないこともあります。

人間関係に悩んだり、気を遣うことに疲れてしまうこともあります。


でもこれは、「向いている・向いていない」を決める話ではありません。

知っておくことで、自分を守れることがあるという話です。

私自身、知らないまま進んでしまい、苦しかった経験があります。


だからこそ伝えたいのは、

やる気や憧れを大切にしながらも、少しだけ現実も知っていてほしいということです。


たとえば、こんなことを一度考えてみてもいいかもしれません。

「自分はどんなときにしんどくなるのか」

「誰かと一緒に動くことをどう感じるのか」


それを考えることは、不安になるためではなく、

自分を守るための準備のようなものです。


看護師は、入ってから少しずつ“自分に合う形”を見つけていける仕事でもあります。

だからこそ、最初の選択は無理に完璧でなくていいと思います。

ただ、自分を壊さずに続けられる道かどうかを、ほんの少しだけ想像してみてほしいのです。

それは不安にさせるためではなく、

できるだけ長く、自分を守りながらこの道を歩いていくための準備だと思っています。